風来のシレンで不条理を学んだ
風来のシレンとは
不思議のダンジョン 風来のシレン5 plus フォーチュンタワーと運命のダイス - PSVita
- 出版社/メーカー: スパイク・チュンソフト
- 発売日: 2015/06/04
- メディア: Video Game
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「風来のシレン」というゲームがあります。
「不思議のダンジョン」と呼ばれるシリーズで、入るたびにダンジョンが変わり、死んだら全てのアイテムを失うという仕組みが特徴です。
一手の間違いが全てを水の泡に変え、落とした涙は数知れず。
アイテムや武器の強化に時間をかければかけるほど、「俺が費やしたこの時間はいったい…」と呆然としてしまう。
しかし気づけば「大きなおにぎり」を片手に、再びダンジョンへと向かっている。
そんな不思議な魅力を持ったゲームでございます。
僕はこのゲームを通し、「人生にセーブポイントなんてない」ということを学びました。なんとも皮肉な話です。
今日はそんな風来のシレンについて語りたいと思います。
いくよー!
「風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!」
僕が初めて買ったのは「風来のシレン2」。
これがもう名作中の名作でして、シレンシリーズの中で指折りなのはもちろん、64シリーズ、ニンテンドーシリーズの全ソフトの中でも屈指の名作だと言われています。
今調べたらこれ、95年に出ているんですよ!すごない!?
バブル終わってすぐに出てんだよ?復興の象徴と言っても良いでしょ!?
当然、今でもその人気は根深く、シレンシリーズの最新作が出るたびに「そんなことより、2のリメイクを出してくれ」と囁かれているほど。
もちろん僕も囁いています。
「シレン2やりてえよぉ!城つくりてえよぉ!城、作らせてくれよぉ!」と。
「風来のシレン2」の魅力
ざっとこの「風来のシレン2」の魅力を説明しますと、
・鬼に対抗するために城を建築するというワクワク感
・村人や仲間と一緒に鬼ヶ島へ向かう緊迫感。
・「お供でござるか?」
・鬼退治後に現れる、モンスター王国や中腹の井戸、開かずの扉といった裏ダンジョン
やっぱ注目して欲しいのは城造りですね。
シレンには「表」となるメインストーリーがあって、それをクリアした後に解放される「裏」のダンジョンがいくつもあります。
裏は難易度高いんですけど、表は万人向けというか、だいぶ優しさが残っているんです。
それゆえに、表は単調になりやすい。裏に向かうための作業になりやすい。
でもシレン2は違うんです!!
表の城造りが面白いんですよ!!!
ダンジョンで拾う素材を集めて城を作り、しかも定期的に鬼がやってきてそれを壊しにくるという、まさに現代の賽の河原!
マジで理不尽!途中まで村人、全然協力してくれねえし!
こちとら、お前らのためにやってんだぞ!
また、城造りの最中は、夏祭りがあったり、シレンに恋する鬼がいたり、綺麗なお姉さんがいたり、ダンジョン攻略とは一切関係ないイベントが盛りだくさん!
もう、本当に盛りだくさん!当時は正直、「スキップしたい」と思っていました。
なんとか城を完成させたあとは、鬼ヶ島に行って、それをクリアしてようやく裏ステージ。
もうね表だけでお腹いっぱいなのよ。
まぁ、当時の僕は鬼ヶ島の中ボス「ガラハ」で毎回死んでいたんですけど。
でもなんどもやり直すくらい大好きでした。
わかる?
勝てなくても楽しかったというこの感覚!
純粋じゃない!?むっちゃピカピカしてない!?
ちなみに僕の家の裏にはちょっとした山がありまして、妹と弟を引き連れて「ここから中級にいける」とかやっていました。
もちろん僕がシレンで、妹はアスカ、弟はリクです。
リクとかゲーム中で速攻死ぬで、弟も死んだことにして置き去りにしてました。最悪や。
「風来のシレンGB2 砂漠の魔城」
中学に入り「風来のシレンGB2 砂漠の魔城」を買いました。
ゲームボーイカラーです。「シレンが出るぞ、シレンが出るぞ」というCMは今でも鮮明に覚えています。
これはもう完璧にやり込んだんですよ。
表ステージもクリアし、裏ステージもクリアし、最強装備である「マムルの剣」「マムルの盾」を手に入れた時、僕は初めて徹夜というものを経験しました。
「あれ、外が明るい」という感覚を知ったのはあれが初めてです。
シレンが僕に、大人の世界を教えてくれたんです。
そしてスマホアプリ登場
あれから15年が経ちました。
なんだかんだ、疎遠になっていたシレンなんですけど、つい最近スマホアプリで登場したと聞き、ふと思ったんですね。
あぁ、これだったんだって。
ずっと引っかかっていたんですよ。
日々を過ごしながら、何か大切なことを忘れている、でもなんだろうみたいな感覚。「君の名は」状態だったんです。
でもわかったんですよ。その名はシレンだったんです!
ということでアプリをインスールしてひたすらに遊びました。
まぁ、こっちは15年前にやりこんだ経験と、15年分の社会経験があるわけですからね。
メインストーリーはさくっとクリアして、クリア後に出てくる裏ダンジョンもひとしきりクリアし、「魔蝕虫の道」っていう全てのアイテム、武器、仲間を持ち込んでOK、でも99Fまであるよっていうダンジョンに挑戦しました。
このダンジョンがこれまでで最も長い戦いになることは、攻略サイトを見て(この辺がアラサーの知恵ですよね)分かっていました。
当然、準備にも時間がかかります。
一例を挙げると、武器は火迅風魔刀。これは「カタナ」を+50まで鍛えたらできるものなのは皆さんご存知だと思うんですけど、その火迅風魔刀をベースに、ミノタウロスの斧、ドラゴンキラー、ドレインバスター、妖刀かまいたち、一ツ目殺し、三日月刀、斬空剣の効果を付け合わせました。
盾もそれくらいのゴリゴリのモノにし、透視の腕輪と回復の腕輪、有能なモンスターの肉、杖、巻物を保存の壺に詰め込んで、ダンジョンへと向かったのです。
77Fで死にました。
これね。ほんとシャレになんないくらい、落ち込んだんですわ。
いや違う。それはちょっと違うわ。
厳密には死んだ直後の状態って「落ち込み」じゃないのよ。「呆然」なのよ。
ほらポケモンとかであるじゃん。バトルに負けると「目の前が真っ白になる」って描写。
あの時、本当に目の前が真っ白になっているプレイヤーってほとんどいないよね?
そりゃそうだよ。
だって直前でセーブしてるから!
「あー、死んだ。もうちょいレベル上げるか」くらいの感覚でしょ。
甘いから、お前ら。シレンはそういうの通用しねえから!!
文字通り、本当に目の前が真っ白になるんだよ。
「え…?」みたいな。
現状が認識できなくなるんだよ!
現実の波と実感の波のズレがすごいから。初期微動継続時間が半端ないのよ!
昔さ、「飼っていたペットを死なせた子供が、再起動させようとした」っていう、「最近の子供は…」みたいな論調で語られた話を聞いたことがあったんだけど、
それ、超わかる!!!
現実を否定したい感じ、超わかる!再起動してええ!リスタートしてえ!なかったことにしてえ!
って感じなのよ、球磨川さん探しちゃうのよ!!
ちなみに、余力あったんすよ。
アイテムとか全然残っていたんすよ。
「あと20Fくらいあるし、ここは節約、節約」とかいっていたら死んだのよ!
実はこのアプリ版シレン、「復活の草」っていう「所有していることで一度死んでも復活できる」ってアイテムがむちゃくちゃレアなのね。
他のシリーズはならけっこうサクサク出てくるんだけど。
もちろんそれがこのゲームの緊張感を担保していると思うし、そのシステムに異議を唱えるつもりは毛頭ないんだけど、でもね、でも一個持っていたのよ!!!
だけどゲイズのせいで飲んじゃったのよ!!
あぁあああああああああああああああ!
それなきゃ、絶対クリアしてたわ!
ってか80Fまでいけば、死神の肉とエーテルデビルの肉で逃げきたんだわ!
くっそおおおおおおおおおおお!
これって多分、恋人に振られた時の感覚に近いのよ!
もっとこうしたら良かった、もっとちゃんと考えれば良かった。
もしやり直せるのなら、あの時に戻りたい。いつでも探しているよ、どっかに君の姿を。昔のホーム、路地裏の角。こんなところにいるはずもないのに…
みたいな!
ワンモアタイムワンモアチャンスなのよ!!!!!
ということで、僕のシレン人生は一旦の区切りがつきました。
しかし、時間が経てば、再び冒険に出てしまうんだと思います。